SAVE THE CATの法則

----- ログライン ------------------------------------
 「どんな映画なの?」に対する答え、一行で表現するためワンラインとも言われる。以下の3つが要点。

  ・皮肉(痒くて掻かずにはいられないようなもの、予測不可能な状況、劇的な状況)が含まれている
  ・聞いた瞬間に、作品のイメージ(全体像)が広がる
  ・ターゲット層や作品の雰囲気、製作費が示されている

 このログラインに、内容を絶妙に表す「パンチの効いたタイトル」をつける。

----- 10のジャンル --------------------------------
 1.家の中のモンスター
   逃げられない空間で、モンスターから生き延びる話。
 2.金の羊毛
   何かを求めて旅に出る、その過程で主人公が成長する話。
 3.魔法のランプ
   主人公の願いが叶うが、やはり普通(観客と同じ)が一番だ、となる話。
 4.難題に直面した平凡な奴
   どこにでもいそうな奴が、とんでもない状況に巻き込まれる。
 5.人生の節目
   主人公が、コントロールできない力を受け入れ、変化する話。
 6.バディとの友情
   二人が一つになっていく話。ラブストーリーもこれに含まれる。
 7.なぜやったのか?
   人間の邪悪さを明らかにする話。
 8.バカの勝利
   バカ(に見える)主人公が、反対勢力を打ち破る話。仲間はずれが勝つ話。
 9.組織の中で
   個人よりも集団を優先することの是非を問う話。「俺とアイツらとどっちがイカれてるか」
 10.スーパーヒーロー
    超人的な力を持つ主人公が、ありきたりで平凡な状況に置かれる話。誤解されたり理解されないヒーローの苦しみを描く。

 いずれのジャンルも、観客の共感を得られるポイントを持っている。

----- 主人公とは ------------------------------------
 ・設定された状況の中で一番葛藤する
 ・感情が変化するのに一番時間がかかる
 ・楽しんでもらえる客層の幅が一番広い

 ・共感できる
 ・学ぶところがある
 ・応援したくなる
 ・最後に勝つ価値がある
 ・(納得できる)原始的でシンプルな動機がある
 ※原始的とは、原始人でもわかるような「食べたい」「生きたい」「殺したい」「ヤりたい」「守りたい」といったもの

----- ビート・シート --------------------------------
 映画の構成がひと目でわかる15項目のシート。各項目(ビート)ごとにどのような脚本になるのか数行の文章で説明する。()内は、実際に脚本にしたときにそのビートが何ページにくるかを表す。

 0.「タイトル」「ジャンル」「日付」
 1.オープニングイメージ(1)
   映画全体のスタイル、雰囲気を設定し、主人公を紹介して使用前の主人公の姿を見せる。
 2.テーマの提示(5)
   脚本家の論点や主張の提示。
 3.セットアップ(1~10)
   主人公、ストーリーのテーマや目的を明らかにする。登場人物も全員出す。登場人物の特徴やのちに起こる問題となる行動を提示、主人公が最後に勝つために、なぜ、どのように変化すべきなのか示す。
 4.きっかけ(12)
   使用前の世界を、ぶっ壊す。
 5.悩みのとき(12~25)
   何かしらの疑問を抱き躊躇する、しかし答えを出して前進する。
 6.第一ターニングポイント(25)
   主人公が自らの意思で答えを出し、今までと全く異なった世界に進む瞬間。
 7.サブプロット(30)
   新しい世界に突入した気持ちを和らげる息抜き。テーマを違った角度から捉える。
 8.お楽しみ(30~55)
   観客が待ち望んだお約束のシーン。CMやポスターなどで使われる、作品の見どころとなるところ。
 9.ミッドポイント(55)
   主人公が、(見せかけの)絶好調、もしくは(見せかけの)絶不調になる。ここからいきなり危険度がアップ
 10.迫り来る悪い奴ら(55~75)
    悪い奴らが一致団結し、再び主人公に迫ってくる。逃げ場も救いもない主人公に危機が訪れる。
 11.すべてを失って(75)
    主人公が、(見せかけの)絶不調、もしくは(見せかけの)絶好調になる。死の気配をちらつかせると良いスパイスになる。
 12.心の暗闇(75~85)
    主人公が、深く考え、心の奥底を探る。そして悟る。
 13.第二ターニングポイント(85)
    主人公が解決策を見つける。メインプロットとサブプロットが出会う場所でもある。
 14.フィナーレ(85~110)
    主人公が悪い奴らを一掃し、世界が変わる。
 15.ファイナルイメージ(110)
    オープニングイメージと対になる。本物の変化が起きたことを見せる。

 1~6を「第一幕」、7~13を「第二幕」、14~15を「第三幕」という。

----- ボード ----------------------------------------
 下記のような、四段のボードを用意し、カードを貼っていく。
┌─────────────┐
│1幕(P.001ー025)│
├─────────────┤
│2幕(P.025ー055)│
├─────────────┤
│2幕(P.055ー085)│
├─────────────┤
│3幕(P.085ー110)│
└─────────────┘
 一つのシーンを一つのカードに書いて貼り付けていく。
 増やしたり減らしたり、移動させたりしながら全体を調整する。
┌───────────────────────┐
│室内/喫茶店/昼間              │
│ボブは秘密を抱えるヘレンと葛藤する      │
│+/ー ボブは最初前向きだが、最後は失望する │
│>< ボブはヘレンの秘密を知りたいのに、   │
│   ヘレンはどうしても言えない。      │
└───────────────────────┘
 ・+/-(もしくは-/+)は感情の変化を表す、各シーンも一つの物語であり感情の変化がなくてはならない。
 ><は葛藤を表す、何と何がぶつかり、なぜぶつかったのか、結果どうなったのかを記述する。全てのシーンになくてはならない。
 ・1段目の右端に「第一ターニングポイント」が、2段目の右端に「ミッドポイント」が、3段目の右端に「すべてを失って」「第二ターニングポイント」が貼られることになる。
 ・各段は、9枚(ないし10枚)のカードにまとめる。間が抜けている空白部分や無駄なシーンがないか確認する。
 ・各段を9枚にまとめ36枚。残り4枚は「どうしても入れたいシーン」を好きなところに入れる。合計は必ず40枚。
 ・3幕のシーンが少なくなりがちだと思うが、全ての伏線やサブプロット、主人公の変化が回収されているか確認する。
 ・色分け。「テーマが強調されるシーン」「同じモチーフを繰り返すシーン」「脇役のストーリー」「サブプロット」などで色分けすることで、どこが関係しているか明確になり、複雑な脚本を整理しやすくなる。
 ・ボード作りは楽しくて止まらない、適度なところで切り上げて脚本を書く。

----- チェックポイントと補足説明 --------------------
 ・主人公は観客に好かれなければならない、だからといって媚びる必要はない、悪人でも共感できれば良い。
 ・状況説明のような退屈なシーンは、退屈させないギミックを入れる。
 ・魔法みたいな状況設定は1回だけ。UFOでやってきたエイリアンがヴァンパイアの力で不死身になった、とかはダメ。
 ・伏線やサブプロットの詰め込み過ぎに注意、どれが本筋かわからなくなる。
 ・面白い設定を思いついたからといって、全部入れてはいけない。
 ・危険やハラハラを表現するためには、今そこに危機がなくてはならない。アサルトライフルを持ったカタツムリみたいなのはダメ。
 ・作品の中で、登場人物全員が変化しているか確認する。悪いやつだけが例外。
 ・グローバルな問題を扱う作品でない限り、マスコミを登場させてはいけない。急に現実感が出て観客が冷めてしまう。
 ・主人公がストーリーに引きずられてはいけない、主人公は自ら行動する。
 ・セリフでプロットを語らせてはいけない。語るな、見せろ。
 ・悪役はひたすら悪くする。最初は悪役のほうが主人公より強い、しかし悪役は変化しないがゆえに主人公に倒される。
 ・プロットは単に前進するだけでは淡々とした印象になる。ぐるぐると回転し、加速しなければならない。
 ・人間のあらゆる感情を引き出す感情のジェットコースター。これで観客はヘトヘトになり、そして満足する。
 ・人物名を伏せてセリフを並べてみる。誰のセリフか区別がつかない場合は、特徴を際立たせて人物像を明確にする。セリフには人となりが表れる。
 ・変化後ばかり描いて、変化前を描くのを忘れていないか確認。
 ・どうしても登場人物の見た目の区別がつかない場合は、わかりやすい特徴をつけてやる。松葉杖とか眼帯とか。
 ・主人公の根底には原始的(※前述)な動機があるか確認。原始的なものは普遍性があるため、世界でヒットする。
 ・「第一幕/第二幕/第三幕」は、「テーゼ/アンチテーゼ/ジンテーゼ」である。まず主人公の最初の世界が提示され、次にその正反対の世界に突入する、そして主人公は成長し両者を融合した新しい世界を作り出す。
 ・テーマ…どんな映画であろうと、何かについて語っていなければならない。
 ・サブテクスト…ハンマーで頭を殴るみたいに、何が起きているかを直接的に言わず、さりげなく本当の意味を表したほうが良い。
 ・主人公の欠点を見せ、観客が納得できるタイミングで、欠点が治るところを見せる。

 ※本文章は「SAVE THE CATの法則 本当に売れる脚本術/ブレイク・スナイダー(著)」を引用または要約して記述したものです
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