ストーリーの書き方・入門(桜風涼)

----- 小説家・脚本家になる ---------------------------------
 ・多くのストーリーは、職業的な技術で作られている(センスより技術)
 ・この本は、作家の先輩としての意見が3割、プロデューサーとしての意見が7割(映像化できる小説のアドバイス)
 ・自分の中に無いものは、プロでも書けない。自分の中にあることを順番に出す、それがストーリー(つまりどんな人でもストーリーは書ける)
 ・ストーリーは書くということは、実は小さなシーンの積み重ね(小さなシーン=自分の中にある記憶)
 ・その日の出来事を3つ思い出せれば、ストーリーを作れる
 ・3つの事実と、4つ目にシーンとしての結末(作り話)を書き添えれば、面白い話になる
   例A
    1.日曜日、寝坊して起きたのは昼毎
    2.猫がベッドの足下に寝ている
    3.ご飯を食べるためにベッドを出たいが、猫が起きてしまいそう
    4.ゆっくりとベッドを出ようとすると、猫が起きてしまい、うらめしそうにこちらを睨んでから、ニャーと低く鳴き、どこかに消えた
   例B
    1.日曜日、寝坊して起きたのは昼毎
    2.猫がベッドの足下に寝ている
    3.ご飯を食べるためにベッドを出たいが、猫が起きてしまいそう
    4.ゆっくりとベッドを出ようとすると、猫が起きてしまい、「おい、こら!急に起き上がると寒いじゃないか!」と猫が喋った!
 ・もし4つ目のシーンを想像できない場合、違う日のエピソードを書いてもいいし、映画のワンシーンを下敷きにしてもいい
 ・3つの事実と1つの作り話、それだけでストーリーができる。しかも、4つ目を変えるだけで、作風を自由につくり上げることができる
 ・作家の仕事は、事実である思い出に、いろいろな肉付けをする作業
 ・3つの事実と1つの結末=ストーリーの最小単位
 ・ストーリーの最小単位を書くときに必要なのは、五感で感じる部分
 ・身の回りに起こった事実を季節や天気等とともに集めるのが、作家の日常作業。これを「言葉のスケッチ」と呼ぶ
 ・作家としての個性とかアイデアとか、そういうものは、(ストーリーの最小単位の)結末部分で勝負すればいい
 ・短い文章なら「起承転結」になるが、小説サイズになると、そう簡単にはいかない(そもそも「起承転結」は漢詩から来ている)
 ・文庫本の章立ては60ページ前後
 ・60分ドラマは、約120ページ。15分毎にCMがあるので、4章立て
 ・80枚を綺麗に書ければ新人賞がもらえる可能性が高い
 ・80枚をどうやって書くか。実は、短編文学では20枚~40枚が応募規定
 ・400字を20枚で「3つの事実と1つの結末」を書く。それを4セットで80枚(=文庫本60ページ)を完成させる
 ・事実を3つ書く、結末を書く、肉付けをする(小説っぽい文章にする)
 ・結末を考えるときは、3番目の事実の次に何をするのが面白いか考えながら、とりあえず書いたり、書き換えてみたりする
 ・結末をどんどん書き換えてみることが、ストーリーを書くということ
 ・「肉付け」は、難しいかもしれない。自分は「疑問」「なるほど」「疑問」「なるほど」を繰り返すようにしている
 ・起承転結は、肉付けの段階で付けられる(事実を並べただけでも、何かが起きる予感がしても、起承転結はない)
 ・前後のつながりを入れ込むことが、起承転結を作り上げることでもある
 ・4シーン1セット(ストーリーの最初単位)を、80枚に伸ばす方法は2つ「1セットを長くする」「セットを繰り返す」
 ・肉付けにはルールがある、「いつ何処で誰が」を順番に書いていくということ。「何を」「どのように」はストーリーの最小単位で、すでに書いてある
 ・描写が上手なのが「グイン・サーガ/栗本薫(著)」
 ・「起承転結」「序破急」「三幕構成」など、ひな形にしたがってプロット書いていくのが定石(小さなストーリーをひな形に入れていく
 ・プロットで大切なのは、「**な状態な主人公が、**を通して**になる」ということ。ストーリーはこれしかない
 ・小説を書く、シナリオを書くということの、出発点はたった1行
 ・起承転結のそれぞれを、さらに4つか5つに分け、その1つを「ストーリーの最小単位」で構成すればいい
 ・作家(ストーリー作り)には2つタイプがある「ゴールを決めずどんどん書き進める(連載漫画やテレビドラマなど)」「ゴールを決めて進む(推理小説やショートショートなど)」
 ・ゴールを先に決めるといっても、ある程度の骨格となる部分(登場人物や時代など)は先に決める必要がある
 ・ゴールを決めて書くには、自然にゴールへ流れてゆく展開を考える力が必要
 ・脚本家の内館牧子さんは、1つのノートに1人の登場人物の人生を作り込んでいる(主人公に至っては、5~10冊にも及ぶ)
 ・「できそこない博物館/星新一(著)」
 ・アメリカの職業作家がよく使っているのが「Scrivener」
 ・とりあえず頭からじっくり書きたいという人には「一太郎」
 ・自分は、Scrivenerで書いて、一太郎で仕上げるという手順で仕事している

----- 言葉のスケッチ、大特訓 -------------------------------
 ・「3つの事実と1つの結末」に肉付け色付けする材料が「言葉のスケッチ」
 ・自分が体験したことを、小説に書ける形で記憶(記録)する
 ・スケッチは大きく分けて「景色・時代・見えるもの」「感じるもの」「喜怒哀楽」で分類する
 ・スケッチをネタ帳に保存しておき、オリジナルシーンの材料にする
 ・心が動いた時、その時の風景やそこに至るまでの出来事をメモする(読者にそれを読ませると、自分が感じたこととほぼ同じ感情が読者に芽生える
 ・今の自分のネタ帳は、アプリの「Evernote」
 ・感情別のノートブック(カテゴリー)を作り、「タグ」にはスケッチ中に登場する他の感情や、登場人物の種類を設定している
 ・名刺サイズのカードに書く人もいる。カードのいい所は、適当に混ぜて抜き出すことができるところ。意外な組み合わせを使うことで小説は面白くなる
 ・適当に選んだ3枚のカードで「3つの事実」を作ってみるのも1つの作風
 ・「Scrivener」でも、ネタ管理はできる
 ・どれだけ沢山の言葉のスケッチをして、効率よく使うかというのがポイント
 ・初めての人のための「言葉のスケッチのフォーマット」
   1.感情
   2.日時(と自分の年齢)
   3.場所と天気
   4.内容
   5.自分の気持ち
 ・毎日1つか2つ、書き溜めてみる(ある程度書けば、小説らしい文章が書けるようになる)
 ・感情のスケッチができてくると、普段書く文章が小説風になる(言葉のスケッチを行うこと自体が、文章の練習になる)
 ・溜まったネタを並べてみると、自分の興味も見えてくる
 ・小説らしい肉がないスケッチでも、書かないよりはずいぶんまし
 ・言葉のスケッチをして、それをネットで公開して、反応を探る(どうすれば読者が反応してくれるかわかる)
 ・真面目すぎる人はなかなかスケッチが上手くいかないと思う、しかし適当でいい(自分の内面よりも外界を多く書くことに気をつけつつ、とにかく書く)
 ・自分で現場に行って取材をすると、「肉」になる部分がたくさん手に入る
 ・知っていて書くのと、知らずにネット上の写真やWikiを参考に書くのでは、ずいぶん違う
 ・知らないことは知らない、というつもりで書かないと、恥を掻く
 ・インタビュー取材をするときに、作家にとって重要なのは、事実がどうであるかではなく、その人間しか口にしない言葉
 ・取材で重要なのは、下調べをあまりしないこと。先入観を持って取材をしてしまうと、自分に都合のいい聞き方をしてしまう
 ・肩書きがなくても、興味があることを誠意をもって伝えれば、だいたいの人は話してくれる
 ・キャラクター設定は、けっこう手間がかかる。とくに主人公になる人物は、その年齢分の過去の出来事が必要(無いと、ぼんやりしてしまう)
 ・過去の出来事が少ない、子どもが主人公だと、けっこう楽に書ける
 ・新人作家の場合、キャラクターの作り込みが足りないことがほとんど
 ・キャラクターが面白くないと感じたら、キャラクターの過去をもう一度よく考える(キャラクターを作る=キャラクターの過去を考える)
 ・自分と違う年代や時代のキャラクターは、きちんと調べる
 ・時代劇の定番資料は、「江戸10万日全記録/明田鉄男(著)」
 ・江戸の文化習俗を調べるなら、「三田村鳶魚全集/三田村鳶魚(著)」
 ・寄せ玉(よく使われる機能的な場面、入社式やお葬式や同窓会など)
 ・魔法=作者の都合でこれまでとは関係ないことを入れ込むこと
 ・ストーリーを構築する上で、最初の「魔法」が極めて大きいと、あとで論理破綻して、読者に逃げられる
 ・伏線をマスターした人がベストセラー作家になる
 ・伏線とは、それ独自で単独のストーリー
 ・伏線を上手く使うには、メインのストーリーとは別に、もう1つのストーリーを入れ込む技術を習得する必要がある
 ・映画やドラマ、小説を見ているときに、「定番アイテム」を見つけて、スケッチして書き留める
 ・「魔法」はストーリーの自然な流れに逆らうものだが、必要不可欠。上手に使う方法をマスターするべき

----- ショートストーリーを書こう ---------------------------
 ・面白いストーリーを書くための、オススメの訓練方法は「映画を観て、そのあらすじを友達や家族に語る」
 ・物書きになるのであれば、2時間の映画は2時間で説明できるのが理想(細部を覚えておく必要があるし、何十分も聞いてもらうためには、面白く話せないといけない)
 ・映画がネタだとしたら、それを使った面白い話を作るのが作家の仕事
 ・映画の説明が、聞いている人に嫌がられなくなったとき、作家や脚本家として世の中に出る力量が備わっているはず
 ・映画を語るときには、同じ映画を違う人にも語ってみる(人によって反応が違うし、自分の説明も変わる)
 ・映画を語っているうちに、自分の得手不得手も見えてくる
 ・ショートストーリーを書いてみる(「3つの事実と1つの結末」を書いて、それに肉付けする)
 ・取材のときは「その時どう思ったか」「今はどう思っているか」両方聞くことにしている。人間の心の移り変わりこそがドラマ
 ・全部想像で書くと(一部の天才以外は)つまらない話になってしまう(「あの話のモデルは?」という話にもなったりするので、取材したほうがベター)
 ・作家は嘘つきじゃないとダメ。嘘が本当になってゆくのが、作家の世界
 ・短編小説と長編小説は全然違う、長編は短編を引き伸ばしたものではない
 ・ショートショートは、短いストーリーの中での結末の切れ味が勝負になる

----- シナリオ(脚本)の書き方 -----------------------------
 ・小説と脚本は、表現手法としては全く異なったもので、必要な技術も違う(ストーリーの構成を考える上では、小説よりも脚本のほうが数段優れている
 ・脚本は、監督やカメラマン、役者がそれを見て仕事するための設計図(誤解されるような文章は排除して書く
 ・ト書き(情景や人の動きなどを書く文。音楽や効果音なども)
 ・台詞(せりふ。役者のセリフ)
 ・シノプシス(あらすじのこと)
 ・柱(はしら。シーンのこと。シーン名を四角で囲むので、柱に見える)
 ・箱書き(シーン名とそのあらすじを1つの紙(箱)に書く。これを机や壁に並べて構成する)
 ・人物表(登場人物と年齢(職業)、役者名の表)
 ・脚本は3つの文で構成される「柱」「台詞」「ト書き」
 ・原稿用紙に書く場合は、通常はペラ(200字詰め)に書く。ト書きは頭3~4字下げ、台詞は2行目から1字下げというような規則がある
 ・シナリオ書きは技術であって、芸術ではない
 ・シナリオ(脚本)は、現場のプロが読んで全員が同じ意識で作品を作り上げるための設計図。解釈の違いなど存在してはいけない
 ・ダメな例「紀子は、昔を思い出していた」 良い例「紀子は、窓の外を見つめて、目を閉じて頷いた」
 ・シナリオには、カメラで写す全てが書き込まれ、スタッフは写されることを前提に舞台を準備する
 ・初めて出てきた登場人物は「フルネーム+年齢」を書く
 ・人物名 声「~~~」 という表記は、カメラが人物を写さないことを示す
 ・シナリオ上必要なものは書く、書かれていないものは、スタッフ(制作部)が決める
 ・シナリオにカメラワークまで書き込むと、カメラマンに叱られることもある(カメラワークはカメラマンの仕事)
 ・シナリオには芸術的(文学的)な文体は要らない。ト書きは役者やカメラ、美術などのためにある。台詞だけが脚本家らしい文体になる
 ・シナリオはストーリーを書く練習としては最適(意味が伝わるかどうかだけに専念してストーリーを組み立てる)
 ・ラジオドラマも、ストーリー作りに適している(映画やテレビドラマより、小説に近い)
 ・矛盾のないストーリーを考えるための訓練として、シナリオを書いてみることをオススメする(言葉だけだと、矛盾が入っていてもけっこう気づかない)

----- 童話の書き方 -----------------------------------------
 ・童話は、時代を超えられる、何百年経っても読まれている
 ・語彙は小学生でも分かるレベルでないといけないし、観念的であったり抽象的だと子どもには分からない
 ・日本語版「ハリーポッター」は、童話でやってはいけないことの百科事典みたいなもの、ぜひ読んで欲しい(悪い点についてはWikipediaにも載っている)
 ・子どもに理解させる語彙を増やすのは、日常の訓練(子ども向け≠簡単
 ・童話を書いたら、近所の子どもを5人以上集めて読ませてみることが大切
 ・童話は大人向けの小説よりも難しい
 ・参考にすべき作品、「モモ/ミヒャエル・エンデ(著)」「ジム・ボタンの機関車大冒険/ミヒャエル・エンデ(著)」
 ・日本の作家でも、星新一さん、筒井康隆さんは童話的な要素がある
 ・発達心理学の簡単な入門書も参考になる(「雨はなぜ降るの?」という問いに対して、子どもの年齢によって、納得する説明が異なる
 ・物事の本当の理由を理解することが面白くなってくるのは、中学2年生以降
 ・人間は(子どもは特に)「理解する」「興味がある」「面白がる」というのが密接に絡み合っている
 ・「子供」という表記は、「子を供する(生贄にする)」という意味があるので、童話の世界で嫌われている
 ・漢字の学習学年設定は、漢字の意味が、その年齢の発達心理において理解できるかなど、非常に細かく考慮されている
 ・一番の参考書は「教科書」
 ・小学校で習う漢字一覧
 ・童話を書いてみよう。オススメは、4年生向けの情緒的な書き方で、内容は大人でも楽しめる普遍的なテーマ。漢字も4年生までのものに限って書く

----- 仕上げて出版しよう -----------------------------------
 ・書籍の構成要素は「表紙」「目次」「本文」「(必要なら)あとがきや著者プロフィール」「奥付(著者名、出版社名、権利表示など)」
 ・本を出したことがない人が一番注意しなければならないのが、差別用語(自主規制ではあるが、読者への心配りでもある)
 ・「Scrivener」は非常にいいアプリ、使ってみることをお勧めする(作家の技をアプリにしているので、先人の知恵を使って執筆できる)
 ・縦書き文章を書くなら「一太郎」(構成や資料整理に適するのはScrivener)
 ・安心して出版するには一太郎を使うのが一番いいという結論
 ・実機による動作確認は必須
 ・Kindle出版は、Amazon本社(アメリカ)との契約になるため、課税もアメリカ。しかし著者が日本在住の場合は、アメリカでは非課税となる。ただし非課税の手続きが必要
 ・表紙で売上が変わるので、頑張って作る必要がある

----- あとがき ---------------------------------------------
 ・小説で食べるには、大手出版社に出してもらうのが一番
 ・「1割のヒットでビルが建つ、それがコンテンツ事業」
 ・作品は量産するべき(10作に1本が売れて、数年はそれで食えた)
 ・アイデアは枯渇しない、むしろそれを書く時間があるかが問題
 ・とにかく書こう。言葉のスケッチさえしてあれば、絶対に書けるようになる
 ・言葉のスケッチ1000本、目指して下さい

 ※本文章は「あなたも絶対、書ける 40代からでも作家になれる! ストーリーの書き方・入門 小説・シナリオ・童話に対応/桜風涼(著)」を引用または要約して記述したものです
 ※「桜風涼の作家ブログ」
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